鴻朧館
游月山荘

有馬温泉 月光園便り

有馬温泉 月光園よりお得な情報をお伝えします。

二十日大根

游月山荘の玄関脇の「さつき」の花壇に約一ヶ月前、二十日大根の種を30粒程植えました。
2日程経つと、蟻に食べられたり、雨で流れたりして10粒程に減りました。

しかし、その10粒ほどは全て発芽をしています。小さな赤い茎の先に緑の子葉。
毎日の水やり、声かけを忘れず、10日ほどが経過し、茎が伸びてまさに「貝割れ大根」。
かわいくて、かわいくて、食べちゃいたいくらい。
そんな衝動を抑え、我慢に我慢を重ね、毎日の水やりと声かけを続けました。
子葉の間から本葉が見えはじめると、日光を浴びてすくすくと大きくなりました。
車両係の髭のおっちゃんから、おまえは子供ができたら絶対に子煩悩やな。
というお褒めの言葉も頂きながら、毎日水やりと声かけを続けました。

ある日、変化に気づきました。
「あれ?」いつもと様子が違います。
「根っこが太くなってる。」それは目に見えて変わったというような物ではなく、
毎日の観察によって気づいたほんの少しの変化でした。
「もう食べようや」おいおい、何てこと言うんだよ、この髭のおっちゃん。
そう思いながらも食べて見たい。我慢していた気持が少しずつ溢れ出して来ました。
「食べようか」
この一言を発したときは、「娘を嫁に出す父親の気持ち」がほんの少しだけ解った気がしました。

収穫せずに残した物に花が咲き、もしも種が取れたなら、
「孫ができた父親の気持ち」も解るような気がします。
今日、ついに1つだけ収穫します。
私が育てた二十日大根、新しい種もまた撒きました。
盛夏には生き延びることは難しいらしいですが、
できるとこまでやってみます。
是非ご来館の際は声をかけてあげてください。

有馬温泉月光園 木村